メディアの特性
視覚環境で存在すると言う事は拒否する事の出来ない、強制媒体が看板です。
●屋外広告
屋外広告は、「地域密着型の存在感のある媒体」といえます。
1.多彩な表現力・・・文字、図形、画像はもとより、最近は動画や音声で訴求できる上、スケールの大きさで感覚に訴える演出や迫力が盛り込める。
2.継続的な高い接触率・・・一定期間、定位置に掲出されるため、接触頻度が高く反復して訴求ができる。
3.潜在意識に訴える・・・広い視界のなかで瞬間的にアピールして通行者の潜在意識に訴える効果的な媒体である。など
●交通広告
交通広告は「訴求対象を絞ったタイムリーな広告ができる媒体」といえます。1.ターゲットに応じた広告戦略が練られる・・・
例えば、通学路戦に希望する期間に特定して訴求できる。2.注目率が高い・・・
車内(とくに地下鉄)で「広告を見る」と言う高い数値の調査結果がある。3.購買時点広告となりやすい・・・
例えば、移動中に接する広告の商品(雑誌など)を駅前などで購入することがあり、消費行動に結びつきやすい。
●看板づくりの基本は景観形成と安全性
屋外広告が他のメディアと大きく異なる特徴の一つに「ものづくり」が挙げられます。
とりわけ、公共空間に第三者の建物や土地を利用して構造体を設置するため、
施工者は事前に法的な調査と許可申請の手続きなど「景観形成と安全性」の履行が義務付られています。
そこで、本章では広告物の構築にあたり、プランニングから竣工までの製作プロセスを紹介します。
製作プロセスの概要
●プランニング
1.事前調査:設置するクライアントのニーズ(販売類・占有率)及び事業内容などを事前調査する。
2.戦略計画:設置する都市の人口、民度を調べ、マッピング。都市別に広告配置と、配分を計画し、図上にマークする。
3.予算計画:設計、施工費、デザイン料、維持管理費別に算出。個別及び設置予定数の単年度、中長期のよさんを立案する。(クライアント主導)
4.デザイナーの推奨:クライアントの要望がある場合推薦する。
調査・分析
1.現場調査:環境(交通量、視認性、他社状況)及び立地(駅・空港前、繁華街)の調査。賃借料、強度、効果など。
2.素材効果:計画に適合する素材の選定や加工法を調査する。
3.法令調査:屋外広告物法、広告物標準条例、建築基準法、景観緑三法、道路交通法など全国と地域の法令を調査する。
デザイン
1.ポリシー:クライアントの広告基本ポリシーに基づき、デザインイメージの方向を決める。
2.デザイン:現場に即して創案された複数のデザインの中から、クライアント意向により決定する。
3.プレゼンテーション:最終方向のデザインをシュミレーションによりプレゼンテーションを行い決定する。(規定ロゴの承認を得る)
設計
1.構造設計:建物図面から広告物許可面積を計算、有資格者による構造設計(強度保障)を行う。
2.電気設計:省エネ指向の光源の選定及び配管、配線など効果的な電気設備により電力容量計算を行う。
3.スペック:施工者はクライアントからデザイナーのデータを受取り、仕様を確認(素材の種類、加工法、配色)する。
積算・見積
1.設計・施工費:図面に表記されているスペックによる素材の算出。設計・施工費(リース契約の場合、賃貸料も含む)
2.デザイン料:企画、現場調査、デザイン、シュミレーション(広告効果の確認)プレゼンテーション費など。
3.維持・管理:消費電力量、保険料、賃借料(次年度以降)など。
4.公租公課申請:手続き申請
●許可申請
1.工作物確認:4m以上の構造物は、工作物の確認申請を。
2.広告物認可:所定用紙に昼夜景図(照明付き)を添え、申請する。
(申請者は屋外広告物届け出の資格が必要)
3.申請内容:電力供給、道路占用・使用許可、電波障害調査、消防署へ届け出申請など。
●許可申請
1.賃貸借契約:クライアントと貸主が直接契約する場合は双方が信義を守り、紳士的に協議の上締結する。
2.リース契約:設置場所を提案した施工者(代理店)が仲介するリース契約の場合、諸費用の総額が含まれ、
通常クライアントと1年毎の決済で清算される。費用の総額が含まれ、通常クライアントと1年毎の決済で清算される。
3.工事請負契約:クライアントと施行者間で正確、安全施工を前提に工事費、工期、決済方法などを協議の上、契約する場合がある。
●工程表
1.クライアントと調整:工事のスケジュールをクライアントと事前に調整の上、納期の厳守を確約する。
2.工程表作成:スケジュール表を作成しクライアントに提出。工期期間中は作業の進行管理を行う。
●受・発注
1.注文書:クライアントからの注文書を受領する。
2.請書:施工者はクライアントに請書を発行する。その場合、納期、受注金額、決済方法などを双方で確認する。
3.資材発注:施工に伴う各種資材を羽註する。4.労災等諸保険の手続き
●竣工・引き渡し
1.竣工検査:施工責任者はクライアントの立会いのもと、広告物全体のチェックを行い竣工を確認する。
(照明付きサインの場合は試験点灯も実施する)
2.引き渡し:完了報告書に記録写真を添えクライアントに提出する。3.決済:契約内容に基づき、決済を行う。
●竣工・引き渡し
1.点灯・披露:ネオン塔などの竣工時、クライアントの意向により、
広告物の安全祈願のために神事(修祓式・点灯)を実施し、関係者に披露する場合がある。
2.広報:同じく、広報活動(リリース)を行う場合がある。
公益社団法人 日本サインデザイン協会編
サインデザインハンドブックより