[法で保護の対象]
著作権は、知的財産権の中でも一般的に知られている権利です。文学、美術、音楽、論文などの人間の思想や感情を創作的に表現した著作物を保護するための権利です。特許権や意匠権などの工業所有権は、登録しなければなりませんが、著作権は著作物が創作された時点で自動的に権利が発生します。保護される期間は、著作者の死後50年が原則となっていま
[著作者とは]
著作物を創作した者が著作者になります。複数の人間が共同で創作を行った場合は、全員が著作者となります。また、企業が発意して行った創作や業務に従事する者が職務上作成した場合は、法人著作として、その企業が著作者になります。
[著作者の権利]
著作者の権利は、人格的な権利を保護する著作者人格権と財産的な利益を保護する著作権
(財産権)に大別されます。
●著作者人格権
・公表権:公表するかどうか、公表の時期、方法、形態等を決めることのできる権利
・指名表示権:著作者名を表示するかどうか、実名かどうかなどを決める権利
・同一性保持権:著作物の内容又は題号を勝手に改変されない権利
●著作権(財産権)
複製、上演、演奏、上映、公衆送信、伝達、口述、展示、頒布、譲渡、貸与、翻訳、
翻案、二次的著作物の利用などに関する権利が保障されます。
公益社団法人 日本サインデザイン協会編
サインデザインハンドブックより
[サインデザインで注意すべき著作権]
作家に依頼して設置した絵画や彫刻でも、特に現代アートなどでは一般の人にとってそれが作品かどうか判断が難しい場合があります。
作品の横に、作家名、作品名、設置年など記入した銘板を取り付けることで著作物であることを明示できます。また、公園の案内サインに彫刻の写真などを用いる場合は、必ずその著作権がどこに帰属しているのか管理者に確認するようにします。
この場合、作品の制作者だけでなく、その作品を撮影したカメラマンにも著作権があることに気を付けてください。
●写真のイラスト化
写真をそのまま使う時はもちろん、イラスト化する場合も著作権を侵害する場合があるので撮影者に断りを入れてから使うようにします。
事前に承諾を得て制作されたイラストは、二次的著作物としてイラストを描いた人に著作権が発生します。このイラストを使いたい場合は、原画となった写真撮影者とイラスト作成者両方の承諾が必要になります。
[著作権の知財権を譲渡しない限り権利は作者にあります]
サインデザインに関わりのある知的財産権を保護するために、まず著作権法があります。
パブリックアートなどを用いたサイン計画をする場合や写真によるスーパーグラフィックなど、オリジナルだけでなく二次的利用を行う場合にも関わってきます。
工場所有権(産業財産権ともいう)では、特許法、実用新案法、意匠法、商標法が制度化されています。
意匠法は、物品のデザインを保護するものでサインの器具や画面のデザインを登録することができます。
特許法と実用新案法は、その保護対象において「自然法則を利用した技術的思想の創作」が共通していますが、前者は発明、後者は考案について適用されます。
商標法は、会社のシンボルマークやサービスマークを保護するもので、商法における商号は、会社の名前そのものを対象にしています。
著作権や工業所有権は、対象によって双方で守られることもありますが、中にはどちらの制度にも当てはまらないものがあります。
例えば、書道による文字は著作物として認められていますが、タイプフェイスは含まれません。
また、意匠においてもタイプフェイスは物品に該当しないため保護されません。
不正競争防止法は、このような狭間の対象を保護する場合に用いられることもありますが、本来はよく知られたブランドなどの名称や形体をそのまま使っているいわゆるコピー商品などを規制する法律です。著名なブランドのマークをつけた看板をよく見かけますが、これらも当然対象となります。